抵抗とコンデンサ HPFとLPF

今回で増幅編終了です。

コンデンサによる発振止めと、よく使われるHPFについてです。

下の図は、改造TSの増幅部です。

今回のテーマはこの二つのコンデンサです。

下の方は、ハイパスフィルター。

上の方は、ローパスフィルター(この場合は発振止め)

ハイパスフィルター

まず、ゲインの式覚えていますでしょうか?

エフェクターの原理 増幅部 ゲインの設定方法 前編』での話が分かっていないとこの先わかりません。

画像ではゲインの式とかいてますが、

このブログでは、増幅率の式とも表現することにします。

さて、増幅率の式を導き出したときのように、

電流と電圧を考えると、上の図のようになります。

51pFとダイオードはちょっと今無視してください。

もし、220nFのコンデンサがないなら、

増幅率は、普通に

\(\displaystyle \frac{ 10k + GAINポット }{ 1k }  + 1\)

となります。

じゃあ、ここでコンデンサが入るとどうなりますか?

周波数100Hzの信号が、入ってきているとしましょう。

コンデンサを抵抗に換算します。

このサイトを使って計算すると

7.234kΩになりました。

ということは、100Hzの信号に対して増幅率の式は

\(\displaystyle \frac{ 10k + GAINポット }{ 1k + 7.234k} + 1 \)

になります。

GAINポットを10kで固定したとすると、

220nFのコンデンサがないときは

\(\displaystyle \frac{ 10k + 10k }{ 1k } + 1 = 21 \)

増幅率21倍ですが、

220nFのコンデンサがあると、

\(\displaystyle \frac{ 10k + 10k }{ 1k + 7.234k} + 1 = 3.42 \)

増幅率3.42倍と大幅に落ちてしまいました。

じゃあ、4kHzならどうでしょうか。

同じようにコンデンサのインピーダンスを計算すると、

180Ωになりました。

またGAINノブを10kで固定すると、

\(\displaystyle \frac{ 10k + 10k }{ 1k +0.18k} + 1 =18 \)

18倍になりました。

18倍とちょっと落ちましたが、どうせダイオードでクリップさせているので、

これぐらいの落ちでは、

そうそう問題にはならないかと思います。

TSは、がっつり低域を増幅しないようにして、

ローカットの特性を作っているのがわかっていただけたと思います。

あの特有な音はここがかなりファクターになっています。

シングルコイルのフロントにTSをトーン上げ目でかけるのがかなり好きです。

そういやちょっと前にこんなの出ましたね。

一個持っておきたい小さい本家TS/サウンドハウスでチェック!
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というのはおいておいて。

じゃあこのハイパスフィルターなんですが、

どうやってカットオフ周波数を計算しましょうか。

カットオフ周波数の言葉の意味は、

エフェクターの原理 入力回路のハイパスフィルター解説』で解説しています。

このコンデンサの周辺回路を下の図のように書き換えてもいいですよね?

そうなんです。

入力部とおなじ、ただのHPFです。

そう、だから、カットオフ周波数も前出てきた式で出てきます。

縦に書いてあるとパッとフィルターだと思いつかないときがあります。

パッと思いついたあなた、僕よりセンスがあります。

このHPFと増幅率の関係

ここで、コンデンサのインピーダンスと1kの抵抗をまとめて1本の抵抗と考えるより、

コンデンサのインピーダンスと抵抗によるHPFでVinが分圧されていて、

1kの抵抗にはそのHPFを通った周波数特性をもった電圧がかかり、

周波数特性を持った電流が流れ、

その電流によって、

この回路の増幅率が決まると考えるとわかりやすいと思います。

増幅率は元々、電流によって決まるような形になってますよね。

1kの抵抗に流れる電流はコンデンサに流れる電流と同じですし、

帰還抵抗に流れる電流とも同じです。

そして、この分圧されたVinは、こんな感じのグラフの周波数特性をもっています。

この電圧をVin’とでもしましょう。

このVin’が、1kの抵抗にかかるわけです。

ここで、オームの法則です。

1kの抵抗に流れる電流Iは、

\(\displaystyle \frac{ Vin’ }{ 1k } = I\)

ほんでこのIが、帰還抵抗(10kとGAINポット)に流れてるわけですね。

\(Vout = (10k + GAINポット) \times I\)

I代入して

\(Vout = (10k + GAINポット) \times \displaystyle \frac{ Vin’ }{ 1k }\)

\(\displaystyle \frac{ 10k + GAINポット }{ 1k }\)  は、定数ですんで、Aとでもおきます。

Vin’ x Aになります。

式的には、一旦HPFを通った信号が、増幅回路に入ってきてて、ゲインはAというような感じです。

例えば、Vinが、フラットな周波数特性をもった信号だとして、

それがHPFを通ったことによりフラットではなくなります。

仮に、Vin’において、HPFを通ったので、100ヘルツにおける電圧が、1Vだとしましょう。

また、4Kヘルツでは5Vだとします。

ここで上の式、Vin’ x AのAが2とかで2倍増幅だとすれば、

100ヘルツでは2V、4kヘルツでは10Vと最初の4V差だったのが8Vになりました。

つまり、原理的にはゲインを上げれば上げるほど、

この状況だと、高域が目立つようになっていくというわけです。

まあ、しかしクリッピング挟まっているので、

実際、そこまではっきりとはなりません。

今はオペアンプ自体の周波数特性とかは無視しています。

補足

また、実はコンデンサと、抵抗を入れ替えても同じ働きをします。

上では入力部と同じようにみると、これはHPFだと言いました。

カットオフ周波数の式をどうやって考えるかについて説明するのに、

入力部と同じ見方をするとわかりやすいのですが、

誤解を生む可能性もあるので、補足しておきます。

なぜ、抵抗とコンデンサを入れ替えてもOKなのでしょうか?

よくご存知の方は、入れ替えると、HPFじゃなくてLPFになってしまうのでは?

という疑問がわかなくもないと思います。

ですが、増幅の場合、帰還抵抗に流れる電流がVoutを作るというところに焦点をおいてます。

要は、コンデンサと抵抗に流れる電流はなんぼですか?

という話なんですね。

その電流の大きさによって、出力される電圧はかわります。

電流はぐるっとひと回りの回路があるとき、どこでも同じ大きさです。

なので抵抗とコンデンサが反対になったからといって流れる電流は変わらないわけです。

といっても、しっくりこない人もいるかも知れません。

これは、流れる電流の大きさの求め方を考えるとわかりやすいかもしれません。

HPFの場合だと、分圧されたあと電流を求めるのに、

GNDにつながっている抵抗の抵抗値(定数)を使ってオームの法則で求めます。

分圧されたあとの電圧を抵抗値で割って電流を出しますね。

ところがどっこい、LPFの場合、

GNDにつながっているのは、コンデンサなんですね。

コンデンサの抵抗値は周波数によって変わります。

分圧されたあとの電圧を、コンデンサの抵抗値で割るってわかりにくいでしょう。

コンデンサの抵抗値は一定じゃないので。

じゃあ、分圧されたあとのコンデンサにかかる電圧をVxとして、

Vin-Vxで抵抗にかかってる方の電圧を求めて、

そっから、抵抗を使って、電流を求めたらええやんという話になりますね。

\(I = \displaystyle \frac{ Vin – Vx}{ 1k }\)

なわけですが、Vin-VxってすぐVin’のことだってわかります。

なんでかって、ただの分圧回路です。

同じ電圧を同じ素子で分圧してるんです。順番が違うだけ。

Vin = Vin’ + Vxになるのは当たり前なんです。

\(I = \displaystyle \frac{ Vin – Vx}{ 1k }\)

\(I = \displaystyle \frac{ Vin’}{ 1k }\)

なわけで、HPF型になろうがLPF型になろうが流れる電流は同じなんです。

 

ちなみにここにコンデンサを挟む場合は、

コンデンサの先は、バイアスでもGNDでもどちらでもかまいません。

コンデンサ挟んで、ちょっと得した感じですね。

なぜかというと、

これも入力部みたく、カップリングコンデンサやと思ったらいいんです。

信号の中心がGNDにシフトするだけです。

交流的な電流の大きさは変わりません。

コンデンサの先がGNDにつながってるなら、

コンデンサの極性をちゃんと考えましょう。

もちろんオペアンプ側が、+。

GND側が-です。

また、コンデンサは直流を通さないので、

ここにコンデンサが入ることで、直流ゲインは1になります。

優秀なEQがついたローゲインOD/サウンドハウスでチェック!
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ローパスフィルター(この場合は発振止め)

このコンデンサ、なんで入っているかといいますと、

高域でのゲインを落として狭帯域化するためです。

コンデンサをまた抵抗に置き換えて考えましょう。

画像のとおり、高域でのゲインが下がります。

このようにして、高域でのゲインを落とすと、

すなわち狭帯域化すると、発振がおさまります。

発振というのはピーッってなるやつですね。

なぜこれで、発振が止まるのかはちょっとややこしいのと

僕より、マルツの説明がちゃんとしているのでそちらに任せます。

すみません。

位相補償で調べると色々出てきます。

まだ僕もこの辺の理屈を完璧に理解できてません…

ただ、とりあえず、ここには100pF入れておけば基本的に大丈夫ですので、

自分はいつも手に入りやすい100pFをいれてます。

回路図に50pFとか書いてあっても100pFにしてます笑。

MODの世界ではここにシルバーマイカを使うのが流行っていますね。

セラミックコンデンサは、温度とかかける電圧とかで容量が変化したりするので、

音の安定性を究極に求めるなら、シルバーマイカとかが良いんだと思いますが、

個人的にはここはフィルムコンデンサがいいです。

音は正直、種類ではそんなに変わらないと思います。

まとめ

というような感じで見てきましたが、

これで増幅部はだいたい網羅しました。

次回はトーン回路いきますね。

これが結構ややこしいんですよね。

では、また。

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