カップリングコンデンサの選び方

前回は電源部のコンデンサの選び方について扱いました。

今回は、カップリングコンデンサです。

カップリングコンデンサというのは、

信号に直列で入っているコンデンサです。

それゆえ、音色に影響を及ぼしやすいといわれています。

今回は、この重要視されやすいカップリングコンデンサについて、

tanδとコンデンサの歪みという客観的な指標を用いて、

考えてみたいと思います。

tanδとは?

tanδは、タンジェントデルタと読みます。

誘電正接とも言われます。

これは、コンデンサの性能を決める様々な要素をまとめ、

一つの指標にしたようなものです。

つまり、コンデンサの総合的な性能を測るのに非常に便利です。

一般的に、tanδが小さいほど、損失の少ないコンデンサになります。

すなわち、理想コンデンサに近づきます。

トーン回路などを設計するときカットオフ周波数などの計算をしますが、

このとき基本的に理想コンデンサとして計算しています。

したがって、tanδが小さいほど、回路が計算通りになる可能性が高いというわけです。

しかし、オーディオパーツであれば、よい音がするとは限らないのと同様に、

必ずしもtanδが小さいコンデンサが、

良いエフェクターを生み出すわけではないことには注意が必要です。

フィルムコンデンサのtanδ

後で電解コンデンサのtanδを示しますが、

それの参考になるように、まずフィルムコンデンサのtanδの実測値を示したいと思います。

WIMAのMKS2 0.1uFをLCRメーターを使って実測しました。

120Hzで、0.001

1kHzで、0.003

10kHzで、0.008

100kHzで、0.021

となりました。

ちなみに1個10円のものから200円ぐらいの他のポリエステルフィルムコンデンサで、

同じ値のものを試してみても、実測値はほぼ変わりませんでした。

アキシャルタイプのマロリ150’sは100kHzで他よりも少しだけ良かったです。

他より耐圧が高いからだと思います。

ただ、ここは可聴域外なので、正直気にしなくて良いかも知れません。

ポリプロピレンフィルムだともう少し良い結果が出ると思います。

手持ちになかったので、今回は未計測です。

基本的にはメーカよりも、何のフィルムを使っているかの方が影響すると思います。

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電解コンデンサ・OS-CONのtanδ

電解コンデンサは、カップリングコンデンサにあまり適さないとよく言われます。

オーディオ的な考えと、漏れ電流の関係からです。

基本的には、カップリングコンデンサで音色をあまり変えたくないので、

フィルムコンデンサという選択が多いかと思います。

結局のところ、高域に大きく影響するので、

音抜けが悪くなるかもしれないという不安から、

僕も基本カップリングコンデンサには、フィルムしか使いません。

さて、実測値です。

MUSE BP 10uF /25V

120Hz 0.088

1kHz 0.171

10kHz 1.120

100kHz 5.31

OS-CON 10uF / 25V

120Hz 0.010

1kHz 0.012

10kHz 0.023

100kHz 0.235

静電容量が違うため、先ほどのフィルムと比較し辛いですが、

電解コンデンサは、

周波数が高くなるにつれ、顕著にtanδが大きくなっていきます。

すなわち、高域が減衰しやすいというわけです。

一方、OS-CONは結構奮闘していますね。

この調子だとカップリングにOS-CONを使いたくなりますが、

そもそも、OS-CONは漏れ電流が大きいので、

カップリングには使うなとメーカーが言っておられます。

電解コンもフィルムなんかに比べると漏れ電流が大きいです。

ただ、アンプにあるカップリングコンデンサが直流をカットするので、

そんなに気にしないでもいいかもしれませんが、

高域特性を考えるならフィルム使った方が無難だろうと思われます。

終段のカップリングによく使われる10uFの電解コンデンサは、

基本的に1uFのフィルムコンデンサで代用が効きます。

したがって、わざわざOS-CONをそこに使う必要もないかと思います。

エフェクターではあまり見ませんが、

電解にフィルムをパラってもいいと思います。

あえて電解をカップリングコンデンサに使って高域を抑え気味にすれば、

味付けにもなりますが、個人的にはトーン回路でその辺はいじりたいかなーと思います。

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積セラのtanδ

カップリング用と考えて1uFの積セラを実測しました。

ちなみにですが、オーディオの世界では、
カップリングにセラミックを使うのは割と禁忌とされています。

120Hz 0.028

1kHz 0.032

10kHz 0.018

100kHz 0.029

となりました。

どうして、10kHzでまた小さくなったのか調査中ですが、

まあまあ良い結果になりました。

参考程度に近い値の2.2uFの電解コンデンサ(MUSE BP)は

120Hz 0.061

1kHz 0.071

10kHz 0.227

100kHz 1.666

というような感じで、比べるとずいぶん積セラの方が良い結果です。

1uFの電解が手元になかったので、2.2uFの比較ですので参考までに。

tanδ的にはカップリングにセラミックを使うのも全然ありです。

tanδまとめ

やはり、フィルムコンデンサが一番使いやすいと思います。

tanδをみても高域まで特性がいいです。

また、いわゆる原音忠実性を求めるのであれば、

ポリプロピレンフィルムコンデンサが良いかと思います。

ポリエステルフィルムよりもtanδが優れてます。

あくまでもtanδは総合的な判断ですので、

細かな特性の違いは、それぞれのコンデンサであると思います。

ゆえに、tanδだけを見てコンデンサを選べばいいという話ではありません。

ただし、性能比較の重要な値であることは間違いないので、

第一次審査的な感じで使うのが良いのかもしれません。

とはいえ、コンデンサを種類で選ぶことは、

結局tanδの違いで選んでることになりますし、

エフェクターの信号用途では、

コンデンサのメーカー等によるtanδの細かな違いは、

あんまり気にする必要もないかと思います。

高域でのtanδを小さくしたいのであれば、

容量の小さいコンデンサをパラった方が値段的に安くつくでしょう。

しかし、自作にあたっては、

いろんなコンデンサを試すのがまた楽しかったりするので、

つまるところ、予算との相談です。

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コンデンサの歪み

tanδは非常にわかりやすい指標なのですが、

tanδだけでは歪みについてよくわかりません。

実はセラミックコンデンサ(積セラ含む)は、

かかる電圧によって静電容量が変わるものがあります。

積セラの中で、一部(CH、COG等)変わらないものもありますが、

普段、使っている積セラだと変わるものがほとんどだと思います。

交流は常に変動する電圧ですので、

信号電圧で積セラの両端間電圧が変動すれば、

静電容量がかわりますので波形が歪みます。

この動画は極端な例です。

ところで、エフェクターのカップリングコンデンサは

LPFのカットオフ周波数が、基本的にかなり低くなるように値を設定しています。

ということは、ギターの信号は、このLPFでは特に減衰しません。

つまり、カップリングコンデンサの両端間で、交流的な電位差はほぼありません。

とすれば、ギターの信号は、カップリングコンデンサでは、

ほとんど歪まないのではないかと思います。

低域あたりでは、少々歪むかも。

ここで言っている歪みは、歪みエフェクターでいう歪みよりもう少し広い意味です。

音色が変わる(若干トレブル側に寄る)ぐらいのものだと思ってください。

オーディオの世界では、この歪みを結構気にする人が多いそうですが、

エフェクターはもともと歪ましてますので、埋もれてわからないかもしれません。

ただ、普通のハイパスフィルターや、

オペアンプの負帰還に挟む位相補償用のコンデンサ等、

明らかに交流電圧が積セラの両端にかかるような場合、

歪みを考慮するなら、セラミックは使わない方がいいです。

フィルムは、セラミックと比べて桁違いに歪まないので、

完全に無視してOKです。

とはいえ、あえてこういうところに積セラを使うことで、

音作りすることもできます。

ここがエフェクターの良いところですね。

全てが味になる(笑)

積セラを使うと一般的には荒い音になるといわれますので、

荒い音が好きなら一度、全部積セラで作ってみても面白いかもしれません。

ただ、個人的には、あんまり積セラで歪ませたくないので、

基本はフィルム、小さい値には、シルバーマイカを使います。

まとめ

薄っぺらく、コンデンサの性能の話をしました

僕はというと、初段のカップリングに

Jantzen AudioのCrosscap 0.1uF/400V

後段ののカップリングに

Malloryの150’s 1uF/63Vを使うのが好きです。

音がどうこうというより、シャレでやってます。

この二つはサイズがほぼ一緒で、色が白と黒で対照的でおもしろいんです。

予算がそんなにないときは、

全部普通のフィルムコンデンサを使います。

普通っていうのは秋月で売ってる安いやつのことです。

個人的には、メーカーよりもフィルムの種類であったり構造であったりの方が、

サウンドに直接影響するような気がしてます。

ただ一部技術の進歩等で電解なのにフィルムより特性がいいコンデンサとかもあるみたいです。

とはいえ、そういうのは値段が高いと思うので、

モディファイするときは、

電解からフィルムにするとか、

ポリエステルからポリプロピレンにするとか種類を変えてみるのをおすすめします。

セラミックをシルバーマイカにするのも大きいかもしれません。

ハイゲインだとセラミックもシルバーマイカも変わんないかもしれませんが。

それでは、皆さんもお気に入りのコンデンサ探してみてください。

ではまた。

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